ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「たいこどんどん」@コクーン(5/6夜)


 ちょっと時間経っちゃったけど、観てきました! 良かった! 色々感想云いたいのですが如何せん鼻の通りが悪くて頭が働かないのね…PC前に腰据える気にもならないのね…。なのでふんわりとだけ。
 江戸は日本橋、薬問屋の大店の若旦那(中村橋之介)と、その太鼓持ち古田新太)が、ひょんなことから漂流し長い長い旅を送る…という、ロードムービーじゃないロードプレイ的な。若旦那と太鼓持ちは強い絆で結ばれているようで、でも太鼓持ちは若旦那に裏切られてとんでもない目に遭うし、殺してやるとまで恨んでいたのに再会するとまた若旦那に尽くしちゃうし…若旦那も憎めないキャラクターなのですが、太鼓持ちのその忠誠心というか無償の忠義というか何なのそれ、と。びっくりしちゃったよ(笑)。
 古田さんは持ち味全開というか、ほぼ出ずっぱりで台詞多いし歌うし踊るし、余すところなく魅力を堪能致しました。ふるちん目当てで行ったから大満足ですよ! 新感線舞台より歌ってたもん(笑)。裏切られてぼろぼろになってそれでも若旦那を慕う太鼓持ちの、何がそうさせるのか理解はちょっとできないけれど、生来の太鼓持ち気質なのか何なのか、でもカラリと明るくバイタリティ溢れる太鼓持ち桃八がとてもチャーミングで、カラリと明るいからこそじわりと悲哀を感じさせる…絶妙な匙加減でございました。橋之介さんもステキな若旦那で、女に弱い色男っぷりが流石でした。あんなことになるとは若旦那も思ってなかったろうにね…人生びっくりするようなことが起きるもんですね…。正直、ふるちん以外誰が出てるとか全然知らずに行ったので、観劇中に「おお! 鈴木京香じゃないか!」となる羽目に陥りましたが京香さん美しかったですしっとり美人で…ふるちんに「それは大丈夫なんですか事務所的に(笑)」って何度かいじられてたけど。主に下ネタ方面で。大林素子さんとか結局わかりませんでした(笑)*1。下ネタけっこうきつめだったんですが、何というか、それを含めて市井の生活は営まれてるのだ的な説得力というか、エロスではない感じで、アハハと笑える雰囲気。井上ひさし作なので、音楽劇というか、歌に踊りにお座敷芸に、古田さんは三味線生弾き生歌披露までされて、うん、いいもん観た。
 セットはコクーンシートから高みの見物だったので、恐らく圧巻だったろうオープニングとか、ちょっとその凄さを体感できなかったのが残念。これはけちった自分が悪い。江戸の海の風景は上からでも綺麗に見えました。黒船がもう来てる時代のお話だったのね。舞台セットは「カリギュラ」の印象が強い、鏡張りの折り畳める壁を使っていました。あとお座敷セットや大店の暖簾が出てきたり。斜め上から見下ろしていたのでイマイチ…正面から見たらどんなだったのかなぁ。
 ただ、「道元の冒険」の時にも感じたので、恐らく井上×蜷川作品の持ち味なのかとも思うのですが、どうにも「現代日本社会へのアンチテーゼ」的な匂いが鼻につくというか…そもそも井上さんの脚本にはそういう意図というか思いが込められているんだろうけど、その部分を蜷川演出は鼻につかせてしまう、のかしらと…ちょっとわたしに合わないのはそこなんだな(笑)。道元のラストとかもね、そこいらなくね?っていうね(笑)。これが、こまつ座だと、そこまで鼻につかないというか…おじいちゃんの説教を受けた孫みたいな気持ちになるんですよね。「わかってるよぅわかってるけどさぁ…ごめんなさい」みたいな。逆らえない懐の深さみたいなのを感じるの。蜷川演出に対しては、ちょっと、反抗心が芽生えるというか(笑)何なんでしょうねー。こまつ座で「たいこどんどん」やったらどう感じたかなぁ、なんて思ってしまいました。
 しかしやっとのことで江戸に戻ってきたらまさか…ねぇ。それでも何も変わらず生きていく市井の人々の逞しさ、も感じられます。うん、それでも生きていくもんね。

*1:オペラ忘れたのが痛かった…