ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

一週間経ちました

 寒い日が続いています。少しでも、せめて日の光くらい、届いて欲しいのに。
 弟夫婦は昨日、妹ちゃんの実家がある鹿児島へ発ちました。ひとりの部屋は寒くて静かです。少しものごとを考えると胸が塞がって目から水が出てしまうので、あまり考えないで笑って過ごしてたけど、ひとりになると笑う相手もいなくてね。すぐ水が出てくるね。弟たちはそりゃあもうあっけらかーんとした顔で、おっかしいことやオモシロいことばかり喋って、食卓でもテレビ見てても暗い表情ひとつなく、ギャハハと笑ってばっかりいたけど、でもあのこたちの工房は今にも倒壊しそうなビルにあって、毎日震度4くらいの余震が続いて、放射能が流れてきてて、お家も棚やたんすや金魚鉢が倒れたままの状態でそのままで、次いつ帰れるか全くわからない状況で、大切なものや思い出の品やお客さんから預かったままの楽器や、ふたりで一年かけてやっと形になってきたお店はめちゃくちゃで、哀しくないわけないのに、ショックでないわけないのに、不安でないわけないのに、全然そんな顔ひとつ見せず、どうしようかねぇ、なんてのほほんと云っていて、それを考えたらわたしは常態を保てなくなるのがわかっていたから、考えないようにしてどうすんのかねぇ、なんてのほほんと笑ってみていたけど、ひとりになるとそれもできなくて、どうかあのこたちのささやかな生活を元に戻して下さいと誰ともなくに祈るしかない。それでも、怪我もなく、家族はみんな無事で、ひとまず安全に衣食住の不自由もそれほどなく生活する場所のあてがいくつかあって、持ち家が流されたり全財産が消えたりしたわけでも今のところはなくて、当座のお金もそこそこあって、恵まれている方なんだけどね。もっと大変な人は本当にたくさん、たくさんいる、生きてるだけでもありがたい、それはわかっているんです。でも、それでも、もう福島には帰れないかなぁ、なんて呟く弟を思い出すと、ほらまた水が止まらないよ。
 もし、ここを覗いて下さっている方の中に、被害に遭われた方がいらっしゃったら、お見舞いのことばとか、何か役に立つ情報とか、置いておきたいと思うのですが、何だかわたしがその位置に立てていなくて、何も云えません。ごめんなさい。自分のことばかりしか考えられなくて、本当に情けなくて、矮小な人間だなぁと思います。ごめんなさい。でもできません。
 でも、弟たちもがんばっています。きっとこれから、色々大変なことやキツいことや、どうして!?って思うことが訪れるんだろうと思うけど、あのこたちはきっとがんばります。だから、もし被害に遭われた方がいらっしゃったら、一緒にがんばりましょう。あのこたちと一緒にがんばってください。わたしには何もできないけど、あのこたちががんばってる時、他の数万人の被災者の方ががんばってるんだ、って思うことはできます。
 どうか、被害に遭われた方みんなに、不安のない明日を思って眠れる夜が訪れますように。きちんとしたことが云えなくてごめんなさい。どうか、受けた傷の何倍もの光をみんなに。