ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「空白に落ちた男」@パルコ劇場(8/2)

 台詞一切なしの、パントマイム/ダンスで綴られる舞台。首藤康之主演。この辺りで、どうにも気になっていた「空白に落ちた男」、パルコ劇場ツイッターさんに背中を押された上にe+で得チケの案内が来ていたので、ああやっぱり観た方が良さそう! 良い気がする!!と急遽行ってきました。久しぶりのパルコ劇場、改修後初めてでしたが、どこがどう変わったのかは…わかりませんでした(笑)。見えない部分を主に改修したんですよね確か!
空白に落ちた男|パルコ劇場(注:音が出ます)

 パルコのエレベーターでは長塚圭史さんと乗り合わせてしまいました。こっそり秋宜しくお願いしますと頭下げておきました。長塚さんはええと、串田和美さん…だと思われる方とお話してました…ロビーも何か、一般(笑)じゃない空気が濃厚だった…。台詞がない舞台だからか、外国の方もけっこう来てたなー。
 劇場に入ると、幕は上がりっぱなしになっていて、どこか外国の映画に出てきそうな素敵なしつらえの部屋がありました。上手側にはシャワーブースもあって、金色の真鍮のシャワーノズルに白タイル、とか。シャビィなアンティーク風味で、それだけでニヤニヤしてしまうくらい…セットがツボでした…あそこに住みたい…。で、その舞台を囲むように、縁取るように、白い枠というか、額縁状の縁取りがしてあるんです。舞台に。ええ、わたくしあの、額縁フェチの気が多少ありまして…中身考えずに額縁だけ買ったりするもので…もうね、額縁込みでほんっとツボでしたよ…うっとりした…。開演前に流れているバンドネオンの音楽も哀愁漂う半音階で、また素敵でした。劇中使われてた曲でした。確か音楽はcobaさんだったはず。
 台詞がないので、言葉での説明は一切されないまま、動作だけで展開する舞台でした。ストーリーは…ううん、不思議な感じ…。殺人事件が起きて、それを追う刑事と助手、いつもの家のはずなのに何か違って戸惑う男、どうやっても机や椅子の下敷きになってしまう男…「空白に落ちた男」は主人公=首藤さん、かと思っていたのですが、どうやらこの舞台に登場する男たちはみんな、それぞれ「空白に落ち」てしまっているみたい。色んな空白に一緒に落ちているうちに、殺人事件は何なのか、本当に殺されたのは誰なのか、わからなくなる…そんな幻惑的な舞台でした。面白かった! 動きはもう、何と云うか、素敵というか、良いです。舞踏とマイムを混ぜたような、でも首藤さんはやっぱりバレエの要素もある、美しい動きだった! 舞台の仕掛けもすっごく面白くて、引き出しがまさかそんな…!とか、冷蔵庫が…冷蔵庫!?とか、まさかの引き出しその2とか*1図書館も凄かったなぁ。家具もドアもいちいち可愛いしなぁ。
 額縁で縁取られている所為か、何だか印象がドールハウス的というか、ミニチュアの世界を覗き込んでいるような気分が終始していたのも面白かったです。何でかなぁ、後方席から遠めに見ていたからかなぁ。額縁の中で起きる小さな不思議な殺人事件、という感じで、そのミニチュアっぽさもとても好みでした。コーネルの箱とか、アーサー・トレスの「ティーポット・オペラ」とか、を思い出さずにいられない…ええ、大好きです。小さく区切られた空間の向こう側に広がる別世界。

Teapot Opera

Teapot Opera

Joseph Cornell: Master of Dreams

Joseph Cornell: Master of Dreams

*1:最初のがあったからあっちも絶対何かあると思ってたら!