ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「ぼくのエリ 200歳の少女」(7/21)(ネタバレなし)

 確か…アリエッティの次の日に観に行った気がする…。水曜日、仕事の後に観に行こうとしたらチケット取れなくて、夏休みを取って夕方観に行きました。単館だからかなぁ混んでるの。わたし個人的にはとても良かったけど、連日満員になるような映画ではないような気がする…どこがそこまでの集客に繋がっているのかもわからないなぁ。個人的にはとても好きですけどね。


 「北欧金髪少年と200歳の美少女ヴァンパイアだよ〜好きでしょ〜(笑)」と友人の甘言にのせられてうん好きー!と着いていってしまいましたが、タイトルやポスター写真から想像される雰囲気とはだいぶかけ離れた内容の作品でした。ねぇ、このポスター・タイポで「ぼくのエリ」じゃ、北欧版「小さな恋のメロディ」か、せいぜい「禁じられた遊び」くらいかと思うじゃないですかねぇ。いやいや、予告編見ればわかりますが、けっこうしっかり普通にホラーですよ。怖くないけど、手法は綺麗系ホラー。「ヒステリア」とか「キャリー」とか。原作小説は北欧版S.キングと表されてる辺りで想像つくかと思います。
 でも、「小さな恋のメロディ」的要素が皆無ってわけではもちろんなくて、そういう映画だと思って見たらそう見えるかも。恋した少女はヴァンパイアだった、的な…わたしはヴァンパイア映画として見たので*1、あんまりメロディアスではなかったですが(笑)。どうやら「王様のブランチ」なんかでも取り上げられたようで、それもメロディアスな方向の取り上げ方だったそうなので、そう見せたいのかなぁ。その方が銀座の客層向けではある、かなぁ(笑)。
 スウェーデンの小さな町で、集合住宅の一室に母親と住むオスカーの隣の部屋に、不思議な父娘が引っ越してきたことからストーリーは始まります。閉鎖的な田舎町、学校、いじめ、逃げ場のない日常の閉塞感が、降りしきる雪の銀白に塗り込められて、陰惨な場面もどこか詩的な画面になるのがさすが北欧モノ。どうでもいいところだけど、オスカーの家*2とか、離婚して別居してるオスカーの父親の家とか、全然裕福じゃないはずなのにいちいち可愛いのもさすがです。さすがと云えば北欧の美少年名産地っぷりもさすがだな…オスカーの天然金髪もすごいけど、ちょっと画面見回すと美人ばっかでびっくりするわ。いじめっ子グループも美少年で、こりゃビョルン・アンドレセンも輩出するわと納得です。
 …時間経っちゃうと面白くなさそうなことしか書けないなぁ。すごく好きだったんだけどなぁ! ヴァンパイア映画として見たら、オーソドックスかつ基本に忠実な感じで、でも子供*3という点がやはりポイント高いです。子供のままで時を止めた存在の哀しさと醜悪さ、みたいなところが良いなぁやっぱり*4。あ、北欧版萩尾望都という云い方も見かけたな。確かに、萩尾先生がコミカライズしてくれたらとても素敵だと思う! 合うと思う!
 ネタバレ的に大きな部分に触れないと、ふんわりとしか云えないのですが(笑)、ええとラスト近くのプールのシーンは絶品でした! 美しくも陰惨で(ある意味)救いに満ちていた! ネタバレ的な部分は、わたくしはうすうす感じてはおりましたが、決定打がアレなので確信は持てず、見終わってから友人にバラしてもらって「あああ! だよねええ!! やっぱり!! っつかそっちか*5!!」という感じでございました。何度も云ってたし、でもその言葉も違う意味に取ろうとしたら取れるから、ねぇ…難しいねぇ。その決定打部分がアレというのは、日本公開版の改悪じゃないか!と憤慨したりもしましたが、配給元曰く、ああしないと映倫の審査そのものが受けられなかった為に精一杯だった、という事情を小耳に挟んで、日本の映画界そのものの問題だったのか、と目からうろこが剥げました。でもまぁ、そここそがストーリーの核か、というともちろん大事な要素だけどそれだけにこだわり過ぎるのも違うだろうし他に読むべき部分もあるだろうし、と、あんまりそっちばっかりに偏ってしまう己も含めて戒め戒め。ラストの「意味」を知ることができた方が、重要でした。ううん、その後が気になる。
 で、映画のもろもろを補わんと、現在原作文庫を読んでおります。映画ではひとつの何気ない動作・行動としてしか描かれていないものが、それぞれに背景や意味を持っているのが知れて、何だか愛おしい小説です…描かれていない部分がきちんと説明されることによって、映画の持つ詩情は薄れるけれど、説明不足でもやもやしてた部分はすっきりする。なので、映画→小説の順をオススメします。できれば小説読了後にもう一度映画見たいな!
MORSE〈上〉―モールス (ハヤカワ文庫NV)

MORSE〈上〉―モールス (ハヤカワ文庫NV)

MORSE〈下〉―モールス (ハヤカワ文庫NV)

MORSE〈下〉―モールス (ハヤカワ文庫NV)

 ところでこの小説、文庫用のブックカバーがかからないなぁと思ったら、うっかり新書なんですね! 新書にしちゃ小さいな!
 そんでうっかりハリウッドでリメイク決定しているそうです…うわーいろいろどうするんだろうハリウッド(笑)。予告見る限りでは、ど真ん中スタイリッシュホラーの別物と化しているような…ちゃんと怖そうだぞ(笑)。エリがクロエ・モレッツだと…? いやそれはそれで…んー…どうかな(笑)。

*1:恋愛映画ではなく、ね

*2:団地みたいなマンションだけど

*3:に見える外見

*4:ポーの一族とかインタビュー・ウィズ・ヴァンパイアのクローディアとかね!

*5:…かアッチかだなぁ、と