ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

東宝「ダンス・オブ・ヴァンパイア」@帝国劇場


【Wキャスト:浦井健治/大塚ちひろ/森山開次
 たしかメタマクの頃、舞台系雑誌を買うと、大体同じ雑誌にこの「ダンスオブヴァンパイア」の記事も載っていたんです。何だかオモシロそうだなーと思いながら眺めていたんです。「SHIROH」やら何やらでお目にかかっていた、吉野圭吾さんが、何かスゴいらしい、というのを小耳に挟み、ああ観てみたいと思った時には、公演終了していたんです。東宝ミュージカルには珍しく、ギャグテイストもりもりらしい、というのも何だかキニナルポイントだったのです。
 それから3年、再演されると聞きまして、しかも今回、ダンサー森山開次さんも出演されると聞きまして、今度こそは!と行ってきましたよ帝劇。Wキャストは元Y.M.G.A(笑)にして元タキシード仮面*1のウラケンさんと、やっぱりSHIROHで美しいハイトーンヴォイス響かせていたちひろちゃんをチョイス。前知識は公式サイトのブログで何となく…でもストーリー的にはほぼまっさら、な状態で臨みました。
帝国劇場 ミュージカル『ダンス オブ ヴァンパイア』
 うん! 面白かった! 楽しかった! 本当に、感動とか、深く考えるとか、そういうの一切いらない! 純粋に楽しめて笑えて歌とダンスを堪能して最後の最後にそう来るかー!となって、でもむしろそっちがいいー!と思って、大変満足です。東宝と帝劇が一丸となってお祭り…いや舞踏会か! 舞踏会開いてる感じが、すっごく楽しそうで、楽しくて、キャストもお客さんも一体となって楽しんでるのがすごくわかって、こりゃあ…リピーター増えるだろうよ…と思いました。ちょっと逆キャストで観てみたいかも、と思ったもん!*2まず帝劇に入ると、お迎えの垂れ幕がオモシロいことになっていて、しかもその前をコウモリが飛び回ってるの…! 飛んでるの! 可愛い!! グッズもいろいろ、面白いものを作っていて、パンフレットにはウチワが付いてて、売店では北海道名産ハスカップ使用の「ドラキュラの葡萄」ジュースやら、青森名産にんにくせんべいやら、それ帝劇とも東宝とも無関係じゃん!なものまで売ってたりして、ロビーの受付にはヴァンパイアよけのにんにくが吊してあって、開演前や休憩明けの携帯切って下さいアナウンスはアルフレート君の声だし…ほんとお祭り騒ぎです。楽しんでるよスタッフも! そういうの何かすごく好き!
 ヴァンパイア・ハンターのアブロンシウス教授とその優秀な(?)助手アルフレートは、トランシルヴァニア地方にヴァンパイア伝説を求めてやってきます。雪の中遭難しかかってたどり着いた宿で、宿屋の娘サラと恋に落ちるアルフレート君、ですがサラはヴァンパイアのクロロック伯爵に目を付けられているのです。伯爵の城での舞踏会に招待され、退屈な日常はもうこりごり、と城へ向かうサラ。消えたサラを取り戻し、ヴァンパイアの驚異から人類を救う為、アブロンシウス教授とアルフレートはヴァンパイアたちの蠢く舞踏会へ乗り込んでいく…果たしてサラの、二人の、人類の、行く先は如何に…!?
 …的なお話です。基本、オモシロです。アルフレートがへなちょこで、サラは全然ヒロインぽくないエロカワ嬢ちゃんで、伯爵はさすが山口祐一郎御大という存在感ですが、伯爵の息子ヘルベルト様(が吉野さん)なんてほんとオモシロ要員だし、伯爵のお世話をしているせむし男のクコール君はほぼマスコットキャラクター化してるし、教授はオモシロ困ったおじいちゃんだし、7割笑って観る感じ。あとの2割はゴシックな世界観にニヤニヤする。そりゃトランシルヴァニアでヴァンパイアで伯爵のお城なんつったら、ゴスゥに決まってますわよね〜ニヤニヤ。お城のセットがすごいゴスゥなアイアン系でかっこよくて、2幕最初の肖像画だらけのセットなんてほんと嬉しくなってしまうくらいゴスゥでたまらなかったです…。舞踏会シーンで電飾点いちゃったら途端にチープな感じがしちゃってちょっと笑っちゃったけど。お話のオチというかラストが、「きっとこうなるんだろうなー」という予想とは違う方向で、でもそっちの方がすごく好みで、嬉しくなりました。そうそう、そうなるのがいいよ! ね!!
 フィナーレが大盛り上がりで、2階後方の席*3だったけど、オールスタンディングでノリノリで楽しかったです(笑)。ちゃんとね、公式ブログで振付解説が動画であるんですよ、そんで一緒に踊れってなってるんですよ。でもまさかこんなに本当に帝劇客席全員で盆踊り(笑)するとは思わなかった…! 予習しなくても全然大丈夫な単純な振付ですが、こりゃおもしれーわ(笑)。舞台上も下も関係なく、大変盛り上がって楽しいフィナーレでした。初心者でも大丈夫だった! そして私は吉野さんと開次さんどっちを観たらいいのかあわあわしてしまう勢いでお二人にクギヅケでしたよ(笑)。
 あと、休憩中もしばらくは席を立たないのがお約束、です。クコールさんが雪掃除がんばってるから! さすがに皆さんわかってるみたいで、クコール劇場*4終わってから一斉にトイレに立つという(笑)。日替わりネタ披露コーナーみたいなものになっていまして、今日はオケピのピアノさんが「ふるさと*5」をぽろろんと弾き、それをバックに手紙を取り出し読み始めるクコールくん、でした。お母さんからのお手紙で、「かあちゃんはいつでもクコちゃんを見守ってるよ、今日もG列のどこかから見守ってるよ」みたいな内容で…本当にお母様いらしてるんですかね(笑)。G列のどこかにお母様いらっしゃるんだろうなぁ! 「あとで楽屋来てねー!!」って叫んで終わりでした(笑)。こんなの毎回やられたら、そりゃたくさん通いたくもなるよなぁ…という。クコールのお母さんはマコールさんだそうです。面白い。
 えーとキャストごとにざっくりと。
 山口さんは…存在がね、スターさんですよね。問答無用のスター性ってやつですよね。コウモリ羽根背負って浮かんでても、若い女の子口説いてても、うん。ですよねー。という問答無用な説得力がある。私の中では何となく、「杉良太郎」みたいな存在感というかポジションです。歌声が面白いというかクセがあるというか…イイ声で上手いんだけど、それだけじゃ終わらない感じが…おもしろいなぁ、と。あと歌っている時のウの音が、フランス語のeuの発音*6みたいで、それも面白いなぁと思いました。カテコの最後に、4人(伯爵・サラ・アルフレート・教授)で出てきてくれて、一番最後まで両手をぶぶぶぶぶんと振ってくれてたのがとてもキュートでした。ほんとぶぶぶぶぶって振ってて可愛かったです伯爵(笑)。
 ウラケンさん…は巧いなぁ。綺麗なテノールでした。へなちょこっぷりも可愛らしく、教授に罵倒されながらこき使われる様も板についた、かまぼこへなちょこでした。一応物語のヒーローだろうけど、ヒーローとしては最弱ランクですよね(笑)。YMGAの頃はまさか東宝の王子様になるとは思ってなかったなぁ!
 ちひろちゃんはね。レントの時に一度、すごく近い席に座ることがあったんです。で、開演前にお話してる声が聞こえて、すんごい可愛い声で、終演後にロビーで見かけたらお顔もこれまたすんごいキラッキラに可愛くて、おまけにスタイル良くて、しかも歌上手くて踊れるんだ!っていう…天は与えるところには何物も与えるよなー…と思いました(笑)。SHIROHの聖女イメージが強かったんですが、サラはエロカワキャラ(笑)で…お風呂大好きの入浴シーンたくさんだったのですが、あれ…ヌーブラ? 登場シーンで一瞬だけ見えたんですが…何か肌色的なものを着てるのかと思ってオペラでガン見したんだけど、何にもないし…すごいなぁ。お色気満載ですよ!(笑)美脚も披露ですよ! アルフレートを勘違いさせちゃうシーンの表情がすんごい色っぽくかつキュートで…可愛かったなぁ。お風呂でうっとり顔も可愛かったなぁ。
 吉野さん。この舞台観たい!と思った最初のきっかけの方。…たんのうさせていただきました!!!! 惜しげもなかった! わぁ!!(笑)美脚と美尻、たっぷりありがとうございました…本当に美しかった(笑)。そしてワンレンヘアのゴスメイクは、10年前くらいの櫻井敦司*7のようでしたよ…。もうね、あのシーンであのメロディであの歌声が聞こえた瞬間に吹いた。初見だけど吹いた(笑)。アルフレートちげぇよ!!と総ツッコミだった(笑)。ほんと吉野さんのおかげで面白さ倍率ドン☆でしたよ…こりゃ愛されるわ、みんな大好きヘルベルトだよ。舞踏会で上手端で踊ってる時も、ふとした拍子に口をクワァ!と開けてヴァンプなお顔しててカッコイイったらない〜。とにかく、出てくると目で追ってしまう感じでした。またフィナーレがねぇ! 振付お手本担当って感じでねぇ! 綺麗に美しく楽しそうにわかりやすく踊って下さるんですよ。ありがとうございます。そしてお辞儀の最後までヘルベルト君でした…優雅にへにゃっておられた…素敵過ぎます。Tバックガーターベルトで側転された日にはどうすりゃいいんですかね(笑)。
 開次さん、再演よっしゃああ!に拍車をかけた方。こちらも…堪能させて頂きました…マジかっこよかったわ…。ヴァンパイア・ダンサーとして、何だろう、ヴァンパイアのエッセンシャルな部分というか、象徴というか、なダンサーたちを統べるもの、みたいな役どころで…黒衣で踊る姿が禍々しくも美しく、動きはとっても森山開次で、こちらも目が離せなかったというか、勝手に目が追ってしまうというか。サラを闇に誘うところ*8と、アルフレートの悪夢と、伯爵の独白ソロと、見せ場がありまして、そのどれもが…圧巻〜。かっこいいのは悪夢*9、本領発揮は伯爵ソロのバックで踊るシーンです。悪夢は天蓋付きベッドの上やら下やらヘッドボードやらからわらわらと黒衣のヴァンパイアたちが這い出て踊りまくるという、ああマシュー・ボーンのAMP版「白鳥の湖」で何かこういうの観たぞ、みたいな感じだったのですが*10、でもコウモリ(笑)だから、天蓋から足で逆さまにぶらんとぶら下がって降りてきたりして…エドガ…と違うものも一瞬観た。ロックなナンバーで激しく踊るのがかっこよかったです。伯爵ソロは、歌詞も「永遠を生きる悲哀」みたいな内容で、切ないバラードに合わせて身を捩るように躍る開次さんが、ヴァンパイアの苦悩を体現しているようで…でも禍々しく美しいのは隠せない感じで。やっぱいいわぁ…。あと、黒い長い髪を振り乱して、目元黒系のゴスメイクの開次さんが、やたらマリリン・マンソンに見えました。森山マンソンその2だ!*11森山さんはマンソン化する運命にあるのでしょうか。直太朗さんもそのうちマンソン化したらいい! どうでもいい! そんな森山開次マンソンさんですが、そんなマンソンなのに、これがまたフィナーレで…可愛いったらない!! すっごいノリノリでぴょんぴょん跳ねてて、盆踊りもつけ爪した長ーい両手で美しく楽しそうに踊って、しかも上手の舞台際まで出てきて大サービスで、さらに盆踊りをずっと片足で跳ねながらやるという…どんだけ楽しいのアナタ…! あんな可愛らしい方だとは思っていませんでした、本当にキュートで…フィナーレは吉野さん観るか開次さん観るかで大困りだったわ…。
 あとは、安崎求さん! 売り上げダウン気分もダウンの安崎さん!! 宿屋の主人でサラの父親役でした、すごい、いっぱいお歌聞けて嬉しかった〜。レントのホームレスとは全然違って、奥さんいるのに女中に手ぇ出すスケベな娘溺愛オヤジでしたが、コミカルで憎めないです(笑)。相変わらずの低音魅惑ヴォイスで…役はともかく(笑)、歌声はかっこよかったです。
 総じて大変楽しい舞台でした。…ああ、もっかい観たいかも…いやいかんいかん…。

*1:もうこの印象しかない…!

*2:でも開次はそのままがいい…!

*3:これが意外に見やすい。安い席なのに

*4:って云うんだって!

*5:うさぎ追いし彼の山〜♪

*6:イとウとユが混ざったみたいな音

*7:@B-T

*8:マント! マント!!

*9:feel the nightsて歌ってた

*10:あれは羽毛布団の恨みなんじゃないかと笑ってしまった

*11:その1はバットボーイ初演時の半モヒ森山未來さん