ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「未来は今」(3/25放送/NHK大阪)

 やっっと、ほんっとーに今更ですがやっと、見ました。時間かかったなぁ(笑)。
 ずいぶん前から手元にはあった*1んだけど、どうしても…再生できなくて。向き合う自信がないのと、辛くなるのがわかってるから、正直…やだなぁというか、しんどいなぁ、と。喉から手とか手以外とか手じゃないモノとかも出ちゃいそうな程、見たかったのも本当だけど、いざ、となると…うん。覚悟がね。フィクションなら、まだしもなんだけど、ね。
 どうしたって私は部外者で、よそ者で、暖かい部屋で日常を過ごしながらテレビを見ていただけで、だからどうしたってわからないし、知らないし、語る言葉もない。今の小学生は震災を知らない、と云うけど、私だって知らない。何も、云えることは何もない。この映像の中に、私の居場所はない。私の「立場」は、私の「視点」はない。やっぱり、テレビの前で、膝を抱えているしかない。ある種の疎外感…と云ったら語弊があるかも知れないけど、そういう感じを覚えたのは確かで、だからやっぱり、この番組は関西でしか放送されなかったんだなぁと、少し…腑に落ちたような気がしながら見ていた。
 GOING KOBEの映像を見た彼が、どんだけの人に届いたんかな、と云った。あの場にいた私は一体、何を受け取ったんだろう、何を受け止めたんだろう、何かを、受け取ることができたんだろうか。
 物議を醸した(笑)最後のフィクション部分、私はあそこが一番…キた。一番泣いた、というか、他はほとんど目から水も出ずに見ていたけど、むしろドライアイの勢いで見てたけど、あそこで突然号泣した。いや、いろいろ思ったり怒ったり笑ったりにゃはー☆となったりぎりぎりしたり息苦しかったり、はもちろんしていましたけどね(笑)。何度あのプロデューサーさんに鉛筆投げようかと思ったことか。その度に「いやこれはフィクションだお芝居だあの人は役者さんだ」と云い聞かせたよ(笑)。どうして自分からわざわざ、辛いとわかってるところに身を置くのか、もういいよやめてよ、ともたくさん思ったよ。
 あのラストで、初めて、その…一気に身近に引き寄せられた、というか。一番、普段から自分で考えて、考えるようにして、忘れないというよりは頭の片隅に常に留めておこうと思っていることを、目の前に見せつけられた感じがした、というか。…絶対に、他人事だと思わないこと、ここには来ない、自分には起こらない、そう思わないでいること、今かも知れない、明日かも知れない、その可能性を頭の隅っこに置いて生きること。私が震災から学んだのは、それだけかも知れない。でも、私にとってそれがあるのとないのとでは、すごく大きな違いが生じている、気がする。それは備えかもしれないし、覚悟かもしれないし、また他の何かなのかもしれないけど、そう遠くない未来に必ず起こるひとつのこと、としてそれを認識することは、認識させられたことは、やっぱり何かしらの…効果、というか、もたらされたもの、だと思っているわけで。ラストのあの部分は、そういった意味で、まず…私にとっては、一気に「視点」が提示されたパートだった。あそこを見て、やっぱりこれは全国放送したらいい、と逆に思った(笑)。これは、自分が「外側からしか見られない」人間だったから、かも知れないですが。
 号泣したのはそこではなくて(笑)、金魚ね。金魚です。ペットボトルを手にした彼が、まさかそうするとは…思わなくて。水、大事じゃないか。あの後。あれだけの水があるのとないのとでは、多分、色々違ってくるんじゃないか。
 でも、彼の行動はあの通りで…何か、すっごく、キた。14年前に被災して、でも周りで死んだ人は誰もいない、10歳の彼の、多分それは唯一の喪失だったんじゃないか、と。以前の番組で、震災の記憶を彼の口から初めて聞いた時の、床に跳ねた金魚が死んじゃう、と水道を捻ったら水が出なかった話。彼にとって「震災」はこれなんだ、と…ぼんやり思った。もし、同じ状況がまた目の前に現れたら、彼が取るであろう行動はきっと、これなんだろう。14年前の、10歳の心が感じた、小さな喪失。助けられなかった小さな命。大切な人を、家や財産を、全てを、失った人がいる中で、金魚、と思うかも知れない、でもそれは、ウーファンさんが語ったように、「それがその人の人生だから」、恥じることでも臆することでも、ないはず。この番組の中での出会いを通じて、その葛藤の真っ直中に放り込まれ、もみくちゃにされ、悩み迷った末の、彼が出したひとつの答えが、そこにあるように思えた。これが、彼にとっての、「あの日」。
 金魚は、14年前の記憶の中に、彼が置きっぱなしにしてきた忘れ物なんだと思う。ペットボトルの中で泳ぐ赤い金魚を、暗闇の中で見た彼が、ほんの微かに微笑んで、…ああ、忘れ物を取り戻せたんだ、と、そんな風に思えて…何だか涙が止まらなかった。
 で、そんな「未来は今」、神戸大学で「学生たちと震災について語り合うイベント」を開催するそうです。ゲストに未來さんを迎えて。
http://www.nhk.or.jp/osaka/mirai/index.html

 これは…すっごく、話を聞きたいと思う、けど、これは私は…行けないな。私が足を踏み入れていい場ではない、気がする。…まぁそれ以前に当たらないというか、そんなに西にも行けないですけどね!

*1:ありがとうございます!!