ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

うすらぼんやりとれんとのこと

 mmoohさんに教えてもらったステキなブログに、今回のレントについて書かれている記事がありまして。観劇されたレントファンの方の感想や考察、だったのですが、それを読んで目から鱗がはげ落ちました。そんでもってのらりくらりと散歩したので畳んでおきます。散歩というかいつもの可哀想な迷走ですが。全然大したアレじゃないんですが、個人的にほほぉと思ったので忘れないようにメモ。
 
 
 ほんと大したアレじゃないんですが。
 そのブログに、What you ownの歌詞の訳について触れられている箇所がありましてね。原詩の持つ意味やニュアンスと、今回の東宝版レントの日本語訳詞のニュアンスの違い、みたいなことに言及されておりまして。そういや原詩ちゃんと見てなかったし、正直日本語詞も曖昧にしか覚えていないし、入っていないし、聞こえていないし*1、そう思って改めて日本語詞を思い出してみて、同時につたない中学二年生程度の英語読解力でのろくさと原詩を読んでみると、…だいぶ印象が違うのね。どうしても、What you ownって曲調がメジャーだし明るい感じだし、舞台で見るとひたすらカッコイイし、あまり深く考えることなく、一度は壊れかけてたマークとロジャーたちの絆が、ミュージカルマジックで1曲歌い終わると仲直り、見失いかけてた自分を取り戻してもう一度前向きに生きよう!的な…いや、もちろん感動するし大好きなんだけど、意味としてはそのくらいの認識で聞いていたんです。昨日まで。「世紀末に死んでいく」とか、比喩的な意味もしくはポエミィな表現だとしか思ってなかったのね。
 で、そのブログを拝読しまして、そしたらその辺のニュアンスの違いというか、そういうのを書かれていて、原詩の一部をそのまま日本語に訳したものが載っていたのですよ。What you ownのラスト、「これこそアメリカ、世紀末に死んでく、本当の自分になるために」「でも最後はアメリカ、誰もひとりじゃない、ひとりじゃない」の部分ね。そのニュアンスが全然違って読めて、ちょっとびっくりして原詩見てみたんですよ。

And when you're dying in America
At the end of the millenium
You're not alone

I'm not alone

 千年紀の終わりに、アメリカで君が死んでいく時、君はひとりじゃない 僕はひとりじゃない。
 ざっくり中2レベル的に直訳するとそんな感じですかね、間違ってないですよね(笑)。ミレニアムは100年単位でやってくる「世紀末」じゃなくて、1000年に1度しかない、だからこの前のミレニアムは世界でやっと2回目の、「千年紀」だ、とも書かれていて、…ですよねぇ、とも思ったのでした。もっと…この世の終わりか始まりか、みたいな感覚だったんじゃないかなー。日本語には本当にしにくいと思いますが。
 で、直訳してみてふと気づいたわけです。…ああ、これってWill Iのアンサーソング的な歌詞だったんだ、と。旅立つ時に、誰がそばにいるのか、の方の。そんな不安を誰もが抱えてるけど、でも君が死ぬ時は決してひとりなんかじゃない、そういう意味だったのかなー、と。
 しかし東宝版では最近すっかり、尊厳なくして死んでいくのだろうか、の方が出会う回数が多いのです。そこでもう一度原詩の登場です。じゃあWill Iの原詩ってどっちなの?と、見てみたら。
 どっちもだったんです。また…英語→日本語じゃ、音数も音節の数も、音の数に対して含ませられる意味も、圧倒的に日本語が少ないんですよね…。原詩では、あのメロディの中に、尊厳〜も旅立つ時に〜も、明日悪夢は〜も、すべて入ってたんですねー。だから日替わりでどっちもにしたり、だったのか、と。やっと合点がいきましたよ…。尊厳〜、の一節はすごく大切なメッセージが含まれているから、やっぱり外すことはできないだろうなーと思うけど、でもワッチュオウンとこんなに呼応して響き合って大きなひとつの物語の、核を作っている部分なのに、と思うと…旅立つ時に、も残して欲しいのね…。
 で、後はまぁ蛇足なんですが、Will Iで思い出されるのが、一番ラストのフィナーレ部分で男性パートと女性パートに分かれて歌うところで。男性陣がここで「尊厳なくして死んでいくのだろうか〜」を歌ってるんですよね。で、その時女性陣は、「あなたがいないとー」って…Without Youの部分を歌ってる。「私は死んでいく あなたがいないから」の後半部分ですよね。…ここでもやっぱり、根底に「死の孤独」というテーマが見える気がするのです。…それって「捨てていくのね重い荷物を」にも通じる…な、と今思った。いやそれは逸れましたが。で、だから、その根底に流れる死の孤独、みたいな主題というか通奏低音、に呼応する歌詞はやっぱり、「尊厳なくして〜」より「旅立つ時に〜」なのではないかなーと思ったわけで、なのでフィナーレの「あなたがいないと」に重なるのは尊厳よりも、旅立つ時に、の方が…しっくりくるような気が、したのです。
 それだけです。まぁお散歩ですから気楽にうすらぼんやりとね。

*1: