ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

インバル・ピント・カンパニー「Hydra ヒュドラ」(11/9@さいたま芸術劇場)

 こちらもお誘い頂いて観てきました。全然まったく何も知らない、どんな感じでどんな雰囲気なのかもまったくわからない状態で、いきなり観たのでした。
http://www.saf.or.jp/p_calendar/geijyutu/2007/d1109.html
 どれくらい無意識で観ていたかというと、終演後に「あああの日本人っぽい坊主頭の人と金髪長い人は大植真太郎と森山開次だったのか! そういや出るって見たなぁ!」と思った程…すみませ…。もったいないなぁ、ちゃんと意識して観ればよかった…森山開次…。いや、目は惹いてたんですけどね。あの人キニナルなぁ的には。
 で、何の前情報も予備知識もなく観たインバル・ピント・カンパニー。ファン多いですね! でも何かわかるわー!! 舞台が箱庭みたいで、箱庭の中で繰り広げられる奇妙な人形遊びみたいでした。コワカワな絵本みたいな世界観。ぐねぐねと直立しないダンサーたちが、棒にぶら下がって移動したり、立てられた鉄の棒を登ろうとしたり。上手奥には大きな砂袋が吊り下げられていて、棒を登り切った男が手を触れると、その袋から砂が流れ落ちる。砂時計のようでもあり、雨のようでもあり。ほんと、コンテンポラリーダンスを観ていつも思うけど、意味なんて全然わからないんです。意味があるのかどうかもわからない。ストーリー性なんてそもそもないと思ってる。でも、何か、面白いんだよね。というか、面白いのと、そうでもないのが出てくる。意味わかんないのはどっちも同じなのにね。
 終演後にパンフを見返して*1、タイトルが「Hydra」だと認識して、ああ、何となく…なるほど、と。ヒドラってあの、えっと…ちょんぎってもそれぞれが固体として生きる原始生物ですよね。もしくはギリシャ神話の多頭な蛇の怪物。でも、私の観た印象では、原始生物な方が合ってる気がした。ミクロな世界を箱庭大に拡大して見せた感じで。引きずられて移動するダンサーたちが、ベンチの上にきゅきゅっと詰まって座ってたり、そこからまたばらばらと散って動いたり、そういうのが何か…アメーバ的な増殖と結合みたいな、そんなイメージだったりして。
 でも、基本おとぎ話みたいなんです、世界観が。妖精めいてる。で、何が一番わたくしの目を惹いてしまったかと云いますと…ええ、女性ダンサーたちの衣装ですよ…。もうね、もうめっっっっちゃくちゃ可愛いの! ツボ!! たまらない!! 淡いベージュのシフォンワンピースで、胸下切替のクラシカルなラインで、焦げ茶色のリボンテープがアクセントになってて、襟元や背中のディティールが全員(6人くらい?)違うのーー!! もうね、ガン見です。どれが可愛いかとか、どれの背中はどうなってるとか、あれの切替はどうなってるとか。途中で、サーキュラーになってるスカート部分のお尻のところを軽く摘んで、バッスルみたいなシルエットにしてたり、うわあああかわいいいいい!!! その衣装のおかげで、軽〜くファンタジー度アップです。フェアリーテイル度もアップです。いやぁかぁんわいかったぁ!! …で、そっちに一生懸命になっていて、森山さんと大植さんにピンと来なかった、と…あーあ(笑)。でも、衣装デザインもインバルさんたちが作ってるそうで、衣装も含めて総合芸術なんだ!という意味では、そんな見方も悪くはないんじゃないかと…ダメですかね…。音楽も、壊れたオルゴールが鳴りやまないみたいな、ミニマルなピアノ音で、スキな方向性でした。何から何までコワカワ系。好きな人にはこりゃタマランだろうな。ラスト、歩く途中で動きを止めたような制止したダンサーたちの頭上に、大きなタンポポの綿毛みたいなものが降り注ぐのも、すごく印象的でした。タンポポの綿毛にも見えつつ、イソギンチャクやらクラゲやらのポリプ状態の様にも見えつつ。どうしても、何となく、水中のミクロな世界を連想させられるのでした。
 で、終了後にロビーに出ると、今回の公演のものではなさそうだったけど、イメージスケッチというか、インバル・ピント&アヴシャロム・ポラックがダンスを創作する時に描くイメージボード的なものが展示されていて。これがまた、何か、もうこれだけで絵本になるじゃない!という感じであったり、服のデザイン画みたいであったり、映画の絵コンテみたいでもあったり、面白かったんです。

 

 うん、面白いものを見た! Fさんお誘いありがとうございました!

*1:先に目を通すべきだった!