ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

「アヒルと鴨のコインロッカー」2回目〜ネタバレなし編〜

 先に云っておきます。この下↓にもう1つあるアヒ鴨記事は思いっきりネタバレしているので、映画未見の方、映画観るつもりの方、映画館には行かないけどDVDとかレンタルとかが楽しみな方、は読まないで下さい。この記事内ではネタバレないので大丈夫ですが、この下の、次の「〜ネタバレ編〜」は見ちゃダメー!! こんなの読まなくてもストーリーはちゃんとわかるから! こんなの読んじゃったら面白さ半減どころじゃない、激減だから皆無だから、ダメ絶対!!
 ここは大丈夫だけど!!
 …というわけで、公開最初の水曜日1000円デイを狙って行ってきました恵比寿ガーデンシネマ。水曜日だからというのもありましょうがかなりの盛況で、急遽21:30〜のレイトショーも追加されていました。1時間くらい前に整理番号もらったけど、その時点でちょうど真ん中くらいの番号でした。嬉しいなぁ人気出て! 本当に、話として純粋に面白いし良く出来てるし、しかも胸が苦しくなるくらい切ないし…良い映画なんですよ、しみじみ。さらに1回観た時とそれ以降で、違った楽しみ方ができる。東京で単館上映っていうのが納得できない、シネコンとかでやればいいのに! 地味なのか!?
 券売所で偶然、eちゃんを見つけてご一緒させて頂きました。私の絶賛っぷりがあまりに極端で、正直なところそこまででも…と思われちゃったら申し訳ないなぁ…という気分だったのですが、如何だったでしょうか。良かった…でしょ? もう一回観るとまた全然違って見えるんだよー!!
 あ、チケットの半券を持っていくと、2回目以降が1000円で観られる「リピーター割引」が始まっています。是非活用してください! っていうか観て!! こんなん読んでるヒマがあったらもう劇場行っちゃって!!
 で、2回目。えー、初回から1週間経って、ほら思い出って往々にして美化されがちじゃないですか。初回はインパクトもあるし、この1週間の間に、あーでもないこーでもないきっとそうだそんでこうだ、と勝手に頭ん中を妄想河崎ドルジ琴美椎名でいっぱいにしてはだーーーと泣いたりしていたので、実際観てみたら案外、そうでもなかったりして、と、思わなくもない感じで、初回インパクトも過ぎたし、そんなに泣けないかもしれないなー、なんて気持ちもしつつ挑んだのでした。結果。
 初回は後半1時間泣きっぱなしだったのが、前後半2時間に拡大された模様です。
 うわぁ初回インパクト差し引いても鉄板だった! 間違いなく泣ける!! いや、泣けるかどうかが良い映画かどうかの物差しという意味ではないんですが、だって勝手に目から水がだらだら出るんだもん!! 初回とは別視点で見始めたら、もう何か…いちいち、胸が詰まって。その言葉の裏にはあんなコトが…とか、そのセリフはあの時アレが…とか、その仕草は…とか、もう何もかも。椎名の何気ない言葉に対する河崎の表情ひとつ、目線ひとつがタマラナイ。で、前半からもう大いに画面が歪んで見えない状態だったのですが、後半がねー。やっぱりねー。もうツライよ静かに泣くの。ヒッとか鳴ってたもん喉。eちゃんごめんなさい隣でぶるぶるしてて。しかもおそらくはワケわかんない場所で。散々周りからも云われてましたが、うん、2回目の方がやっぱり色々クるね…色々見えてくるからね…。初回、パズルのピースが組み上がって、徐々に現れる絵の哀しさ、愛しさ、優しさ、辛さ、そんなものに内臓絞られる勢いでしたが、2回目はその絵柄をもともと知っていて、完成図を先に描きながら過程を見る感じで…そうすると、裏側の機微とか諸々が新たに見えてきて…苦しいわ…。苦しいんだけど愛おしくて、椎名がたまらなく可愛くて、だからラストが余計に泣けて、エンディングテロップも泣けて、結局はまぁ大泣きなんですが。
 「切ない」って言葉は、多用され過ぎてて意味が陳腐になってしまっているような気がして、あまり使いたいと思わない言葉でして。なので、この映画を観て、「切ない」という言葉を使って感想を書きたくない、そんな使い古された言葉で表せるような感情じゃない、と思うのですが、じゃあこの胸苦しい感じは、叫びたくても叫べなくて叫び声の代わりに涙が出るような感覚は、一体何なのだろうかと考えると、その感情はやっぱり、「切ない」というものなんだろうな、というところに落ち着いてしまうわけです。そういう感じの「切ない」映画なのです。泣かせ所を明確に意図して設定していないところも好きだ…それは自分で勝手に設定するからいいの…ていうかほぼ全編にわたって至るところにポインツがあるんだけど…。
 早く、いい加減泣かずに観られるようになりたいです。胸苦しさでいっぱいいっぱいにならずに観られるようになりたい。うわああああ!ってならないで、落ち着いて映画全編を楽しみたいです。いつになるかわかりませんが。
 あの時、彼の耳に届いた歌声は、確かに神の声、だったんだろうな、と。思わずにはいられない。