ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

血の婚礼 オレンジの花4輪目

 ソワレも見てきました。ソワレはひゃあ!というお席でした〜(笑)。が、すいません…ちょっと眠さ限界に達したんで続きは明日の早めな時間にします…眠い…目が開かない…。
<以下次号>

 おはようございます。次号って何だ次号って! まるっきり記憶がないですこの<以下次号>の文字列。寝てたな…(笑)。
 というわけで5日ソワレ、ひゃあ!なお席。もう、力業で納得させられた感じでした、決して共感できるわけではないし、同情とか哀れみとかそういうのでもないけれど、目の前の純然たるひとつの「悲劇」に対して、涙腺が緩みました。今回初めてだ…自分でも驚いた。やっぱり、近いと放出されるエネルギーに食われるんだな…。理論を吹っ飛ばした力業の感情は、仕方ない、と諦めに近い納得をさせられるんですね。言葉で何を語っても、その瞬間の感情は説明できない。「どうして」「何故」なんて、本人たちだってわからないんだから。
 今回が初のマチソワ公演だったわけですが、なんっとなく特に前半、マチソワ疲れ?と思うような…ぞんざいさがちょっとあったような気がします。セリフが前のめりになっちゃうというか、転ぶというか。タイミングがちぐはぐで、まだ何も云ってないのに「黙れ!」とか云ってたり(笑)。でも進むに連れて大きくうねったなぁ…逃げ出した後のレオナルドがちょっと振り切り過ぎちゃってる感もしましたが。これは個人の好みかな、私はマチネくらいの、崖っぷちの最後の最後で理性にしがみつこうともがくくらいのレオナルドが好きです。ソワレは完全に駄々っ子化してた…。それはそれで、身を投げ出して笑っちゃうくらいの絶望なんだろうけどな。「朝の匂いがする…夜が死んでいく」みたいなところ、ごろごろじたばたしてて…可愛くなっちゃったよ…いや可愛いんだけど…。花嫁の身体にすがりついて哀願するレオナルド、初日とはもう別人です。離れようとするのにしがみついて「やだ」とか云ってましたよ! 駄々っ子!
 花婿登場直前の抱擁が一番…熱いのですが、そんなん見ちゃったらそりゃ花婿怒るわな…とちょっと思った。ほぼ濡れ場です、あれ花婿来なかったら…いやいやいや(笑)。
 あ、前半の声のトーンはマチネ*1より一段低いくらい、でも初日より高め、で、ちょうど良かったです。
 とにかく何というか…美しい人でした。左手の甲の傷まで美しいひとだった、ちょっと下がってるブーツのファスナーまで美しかった。汗を拭く背中の陰影が芸術的だった。あれ本当に、照明の当たり方も絶妙で…肩胛骨や背骨の窪み、背筋の影がね…凄い綺麗で…すみませんそっちばかり見てしまいました…。
 冒頭の、過去の殺人のシーンで、舞台手前に未來さん*2 *3が出てきた時、ふわりとレモンの香りがしたのですが、その後のフラメンコシーンとかではしませんでした。どこから来たレモンだったのかなぁ。メンコと云えば、メンコ最初の、足下の砂を手で握ってさら…と落としてからぶちまける、のがソワレではなかったのがびっくりしました。マチネはあったのに! どうした忘れたか!? なくなっちゃったのか!? すごい好きだったんだけど…。そしてメンコ中にどんどんブーツが下がってしわくちゃになっていく。それをレモン水前に引っ張り上げていました。で、あまりにぞんざいかつつっけんどんで、その冷淡さに笑ってしまう「泣くのかやめてくれ」が、ソワレではちょっと…会話っぽく、人間っぽく…「おい、泣くのか。やめてくれよ」って。あっちゃんと話しかけてる!と思いました。初日なんて棒読みだったもの! そのあまりに潔い突き放しっぷりがちょっと格好良くもあったんですが(笑)。
 とにかく、理論を感情でねじ伏せる、後半のその勢いは、これまでの中で一番だったように思います。席の所為かもしれませんが。何かね…ラストで背負い込まされた重さが、前と違った。芝居の最中に涙は出なかったけど、終わって拍手してる時にじわじわと来ました。
 あと新納さんと尾上さんのシーンはほんっとうに、毎回、本当に大好きです…震える。カッコイイ…。未來さんがどうとか、そういうのを抜きにしたら、一番好きなのは月のシーンと、ラストの赤い砂を散らす女達です。ぞくぞくする…! ぞくぞくすると云えば、どの辺だろう、レオナルド幻想のところかな。未來さんの肘を曲げて挙げた右手の手のひらの位置に、振り向いたソニンちゃんの顔がぴたっとはまる、けど触れはしない、みたいなところが好きです。わかりにくい。手を差し伸べるレオナルド、その手に触れようとする花嫁、花嫁の手を挟み込もうとするレオナルド、の直前でハッと手を引く花嫁、の一連も好き。
 で、カーテンコールのメンコはもう…可愛さ爆発!で。救われます…いやあのどすーん、と重暗〜い気分で放り出されるのも悪くなさそうなんですが。一人で来てたら好きかも(笑)。でもあって嬉しいカテコメンコ。かっこいーい! 美しーい! ソニンちゃんと視線を合わせて、睨めっこみたいにぎゅーっと見つめ合ったり、にこっと笑い合ったり、たまらない! 渡辺さんと目配せしたり。あとソニンちゃんを前に押し出すみんなの笑顔とか…ああ、こんなムラだったらよかったのにねぇ。悲劇が起きないから芝居にならないけどねぇ。
 で、この日はゴキゲンが宜しかったのか、何らかの手応えがあったのか、はたまた昨日のお酒が美味しかった(笑)のか、どうした森山未來!?という感じで! 客席の拍手が手拍子になったのもあったのかな。もう一回出てきた時の笑顔が困ったようなでも嬉しそうなくしゃくしゃ笑顔で! みんなでお辞儀して、ハケて行くのですが、あれれいつも最初にさっさといなくなっちゃうのに、袖のキワに最後まで残ってる。どうした…?と思ったら、最後にくるっと振り向いて、もう一回ひとりでお辞儀! うわーーー!! 何、何かあった!? 非常に愛想がいい!!(笑) お辞儀一回でこんなに嬉しくなるものなんです、そんだけ珍しいんです(笑)。合わせた両手の指をぱたぱたさせて、何か嬉しそうでね…非常にイイモノを見せて頂きました。あー…かわいいー…*4

 「血を腐らせて生きるより、血を流して死んだ方がまし」というセリフがありますが*5、あの場で、あの小さな共同体の中で、因習に従って生きることは、血を腐らせて生きること、なんだろうな。集団を出ようとした男は、血を流して死んだ。集団を出ようとして出られなかった女は、結局はまたその集団へ戻り、帰属して、血を腐らせながら生きる。でも、その生は最早、生きてはいない。男は血、散り降る赤い花。女は男の血を吸う大地、男の花びらが降り積もる大地。男は走って消えていく、女は動かずそこに在り続ける。
 本日の連想ゲームはそんな感じで。

*1:この第一声「赤ん坊は」が、ほぼ通常の未來さんのトーンで…高かったです

*2:アレまだレオナルドじゃない…いやもうレオナルドなの?

*3:いやでもあのシーンで殺されるのが新納さんだからそれは花婿の父親でレオナルドは3才…?

*4:ダメっぽい

*5:多分。大体そんな感じ