ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

ゲキ×シネ「SHIROH」@バルト9(3月3日)

 一週間も経ってしまいました…忙しくてというよりは気ぜわしくて毎日。PC立ち上げるのもおっくうになったりして。目もしぱしぱするし。
 もうすぐTOMMYなので、中川晃教アッキーさん予習も兼ねて見てきました。ううーん…凄かったです。そして重かったです。もちろんテーマも重いんだけど、何だろう…そういう重さと、あと重量感というか。ずっしり。さすがロックミュージカルだけあって、全編ほぼ歌です。セリフほとんど歌です。それも重量感を増す要因だろうなー。もうね、生でメタルマクベス観たよりも耳がわんわんした(笑)。1幕1曲なんじゃないの!?くらいの勢いでノンストップロック。もちろん緩急はとてもあるので飽きたりはないのですが…ちょっと疲れた…。でもR付いてるので全編生バンド演奏で…すげぇ。バンドさんすげぇ岡崎さんすげぇルークさんすげぇ。
 中川アッキー主演で島原モノ、くらいの前知識で見たのですが、あと上川隆也さん、杏子さん、吉野圭吾さん*1が出てる、くらい。なので、高橋由美子ちゃんがめちゃくちゃ歌上手いのにびっくりしたり、大塚ちひろちゃんを「うわーどっかで見たことあるんだけど誰だっけーっていうか声キレイだしレミゼでエポとかやってた子かな?」とガン見していたり*2秋山菜津子さんで「わぁツナ様! かっこいい!」とフワフワしたり、いちいちしていました。忙しかった(笑)。
 ストーリーは、島原の乱をベースに、かつては持っていた奇跡を起こす力を今はもう失ってしまった四郎時貞と、難破船で異人の孤児達と暮らす、歌で人の心を操る不思議な力を持ったシローが出会い、四郎はシローの歌の力を借りて島原の乱を起こす、という…史実をベースにしたお話でした。でさぁこの乱の結末は周知の沙汰で、もう絶対動かしようのない悲劇じゃないですか。何かね…マクベスだって悲劇だし、朧だって悲劇といえば悲劇なのに、何だか後味がさっぱりスッキリ爽快、だったじゃないですか。うわーすげー悲しい哀れ、でも良かった!!って感じじゃないですか。でもSHIROHの後味は…非常に…ぐったりでした…。同じ悲劇でこの違いは何だろう、むしろSHIROHの方がまだ、こう…神の御許へ、とか、それこそぱらいそとか、ねぇ。救いが見いだせそうな気がしなくもないのに。…まったく見いだせませんでした…。何かもうド悲劇。やっぱり史実(っていうとアレだけど結末は史実と同じだから)とフィクションの違いなのかなぁ。数かなぁ3万7千の民、ていうのは…言葉だけでも圧倒される。扱っているものの重さが段違いな感じで…私にはエンターテインメントとして楽しむ、にはちょっとそれは重すぎた、のかな。支えきれなかった…。もちろん新感線なので、随所に笑いは差し込まれているのですが、その瞬間は笑えても、何かね…痛快じゃないのね。そりゃ痛快じゃ困るんですがね。そういう話じゃないしね。いやぁでも…重かったです…。正直、悲劇に涙するより、何かもう怒りがね。こんな風に死ななくちゃいけない信仰って一体何なのさ、とね、とても強固にそして選択的に無宗教なわたくしには全く理解できず、怒りと不条理さにぶるぶるしました。あークライマックスにぷんすかしてたから後味さっぱりしなかったのか。でもあれは「可哀想」と涙を流すべきものではない、少なくとも私にはそう思えなかった。で、そんなことが、全然詳しくないのでアレですが、まぁ史実として本当にあった。もうね、やりきれないね。信仰って何なの。ごめん私やっぱり共感はできない。一生無宗教でクリスマスと初詣とお盆と正月やる。宗教学、とか、宗教音楽、とか宗教絵画、とか、そういう意味での興味はとてもありますけどね。
 何だかわからなくなってきた。
 えーと中川アッキーさん。…いっやぁ上手いね流石ですね自由自在ですね!! 歌で人の心が操れる、という、ええっ!?みたいな役なのに、説得力のある声でした。すごーい、こりゃTOMMY楽しみです。上川さん。私にとってはNHKドラマ*3の人、だったので、最初に歌った瞬間はびっくりした(笑)。シローへの憧憬や愛情や憎悪や嫉妬、色々背負って面倒くさい役だけど、天真爛漫なシローと対極の、大人な、大人だからこその、面倒くささや人間くささが眩しく、そして痛かったです。高橋由美子さん、もう本当に申し訳ないのですが私の中では「ショムニの占いする人」で…申し訳ない…可愛くて強くて儚くて歌が上手かったです…。すんごい安定してるし、アッキーと並んで危なげない。そして「息も絶え絶えに歌う」という荒技をやってのけて下さいました。…も…もしや…やっぱり…歌うんだそこで…、とまた違う意味で息詰まった(笑)。冒頭の台詞を後半で忘れて*4、うっかり何というか…驚き所を外してしまった感が勿体なかったなぁ。杏子姐さんはさすがでしたね。ハスキーボイス久しぶりに聴いた〜。衣装と髪型でうっかり(月影先生みたい…)と思ってしまったのは失敗です。大塚ちひろちゃん…びっくりした! 声がすごく透き通っててキレイでした。四郎とシローにしか見えない、人じゃない役、すごく難しい役どころでしたが、不思議な存在感でした。セリフらしいセリフがほとんどなく、舞台上に現れて消える、それだけだったり…難しいだろうなぁ*5 *6。秋山さんは、もう、かぁああぁっこいいいぃぃ!! 声がカッコイイ、仕草が立ち居振る舞いがカッコイイ。歌もすごい上手いんですねー、朧で1曲しか歌ってないのがもったいないくらいです。高田聖子さんと姉妹なのですが…姉妹そろってかっこいいいい! また高田さんが素敵なオカッパボブでね…めちゃくちゃカッコイイんですよ…。江守さん、貫禄勝ちですね! 正直あの、歌は…えっ? あれ…??って結構思ったんですが、声量と低音で押し切り勝ちというか文句云わせないというか(笑)。裃ネクタイでマフィアのボス風って(笑)。吉野圭吾さんは瞼真っ青でポニーテールでスーツ裃にロングスカートひらっひらさせて非常に面白格好良かったです! 右近さんと仲良しの役で…重苦しい話の中で、本当に清涼剤(にしては濃厚)的な笑いを提供して下さいました…最後の最後までステキでしたよ吉野さん…(笑)。あんななのに踊ると華麗だし! 橋本じゅんさんは、じゅんさんでした。轟天!?くらいのメイクでしたが(笑)。もみあげプレスリーじゃないよ、とか云ってましたが(笑)。あとアドリブに吹き出してさらにアドリブ返したりしてましたが! 殺陣のキレ味は流石です。粟根さんは…歌った時にハラハラしました(笑)。メガネにポニーテール、格好良かった〜。面白かったです。がとにかく…歌うたびにお腹の底が冷たくなるくらいの緊張を(私が)覚えた…。河野さんはいつもの感じで、杏子さんのダーリンでした(笑)。河野さんも歌った! 歌っ…た? のか? な? ひやっとしました…。
 あとは、カクレキリシタンンの民衆の中に、高谷あゆみさん*7を見つけたり、同じく民衆の中谷さとみちゃんがやっぱりとても可愛らしかったり。あゆみさん、アンサンブルでひとりで高音支えてるというか、このハイトーンヴォイスは!?みたいな、耳が先に感づいた(笑)。で探したらいらっしゃいました〜、嬉しかった!
 と、個々にはすごく良かったのですが、…やはり全体的に重かった…。エンタメに昇華させるにはあまりにも生々しく、そして感情を寄り添わせて移入して投影して共有するには、宗教はあまりにも…壁が厚かった、です…。
 でも、このミュージカルが荒削りながらももの凄くパワフルで、ぞくぞくする何かを持っているのは確かだと思う。それだけの力があるから、見ているだけで…吸い取られるんですよ…。
 しかし同じR付きでも、メタルマクベスの音:芝居の比率は、とってもとっっても洗練されているんだなぁ、と改めて思いました。いや、メタマクはミュージカルじゃないからか。そっか。

*1:クラブセブンで格好良かった

*2:いやいや「白夜行」で綾瀬はるか嬢のお友達だった子です

*3:大地の子、かな

*4:私がね

*5:しかし舞台奥上方を左右に浮遊するその姿は思い出したくないものを思い出させ…

*6:火の鳥のアレ…

*7:BB初演のテイラー夫人