ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

長州ファイブ(2/23)

 新宿シネマートという映画館は韓流専門なんですかね? 絶賛グッズ大発売中でした。長州ファイブもストラップとかあったら面白いのに。聞多ストラップとか(笑)。
 映画「長州ファイブ -CHOSYU Five-」ウェブサイト

 見てきました。もう、遅い時間に1回しかやってない…。終わったら23時になっちょりました。見終わった感想は「…壮大な歴史の授業の資料ビデオだったね…」でした。何か、えっと、最近の映画にはない無骨さというか、虚飾を廃したというか…逆に新鮮だった。凝ったカメラワークもない、お金かかってそうなCGも(あんまり)ない、畳み掛ける様な怒濤の展開もない。いや時代の波というそれこそ怒濤は襲ってきているのですが、それは史実であり映画的表現云々ではないので。映画的にはまぁ地味な。極めて地味な。いや、それが悪くないんですが。ただ、シーンとシーンのつなぎ目が…また海始まりかよ!みたいな…ブツッと暗転して海から始まる、みたいなのばっかりでね…もうちょっと工夫はないのでしょうか。敢えてそういう軟派な小手先技はナシにしたのでしょうか。でもあの辺が教育ビデオっぽさを醸していた最大の要因ではないかと…。長回しが多用? そんなに多くはないのかな? でも、印象に残るので、こう…乱闘シーンとかでも、ハイここでアップ!みたいなカット割りがほとんどなくて、ぶれるカメラで追いかける風で…ドキュメンタリーを見ているような気分になりました。全体通してドキュメンタリーっぽかったな。あっそれでいいのか。普段、派手な映画ばかり見慣れていると、きっと耐えられないんじゃないでしょうか(笑)。
 でも、表現法は地味でも、裡に燃えるものは熱かった! 禁を犯して命がけで密航して、言葉も通じないイギリスへ渡り、「生きたる機械」としてその技術を日本へ持ち帰る。幕末の世にそれがどれだけ困難な決断だったか。サムライの証である髷を切り捨て、死ぬ覚悟で渡った先で、ボロボロの格好で英国を見回す5人の目の輝き。藩がどうとか幕府がどうとか云ってる場合じゃない、これからは世界の中での日本を考えるべきだ、とそれは正に炯眼。熱い! 素晴らしいよ! 善し悪しはともかく*1、彼らが近代日本の一端を作り上げたのは間違いない。こんな若者たちが、あーんなむちゃくちゃな事して、この国は変えられたんだな…と思うと何か。無茶だなぁ(笑)。でもその無茶がないと何も変わらなかったかも知れない。無茶ってすげぇ、国を動かす。とぶるぶるしつつも、現代日本の、あのー対外ももちろん大切ですがーその前に日本国内でもうちょっと色々やんなきゃいかんこともあるんじゃないでしょかねー国会が悪口言い合いの学級委員会みたいな事になっちょりますよー的な状況を鑑みて、ちょっとしょっぱい気持ちになったりもしました。もう情熱だけでは国は動かなくなっちまったんですかね。
 えーと最初、正直あの長州弁がほとんど理解できませんでした…(笑)。「生きたるキケー」って何だろう…きけえ? きけい? 奇計…? あっもしかしてキカイ!? にしてもチャンスかマシーンか一体…と、事前情報ゼロで挑んだわたくしはしばらくぱちくりしちょりました。へじゃが、とかね。聞き慣れてくると妙にキュートに響きますが。
 で、北村さん。噂では、前半はほぼ主役だけど後半出番ない、とのことで、そうかー後半あんまり出てこないのかーと思っていたのですが、ええ。出ません。むしろ、1幕主演の2幕カテコまで出番ゼロ、状態です(笑)。びっくりしたー! そんなに潔く出てこないとは思ってなかった! 北村さん演じる聞多は、英国留学の途中で日本の危機を知り飛んで帰国してしまう、もうとにかく熱い方なのですが、ええ。帰国したら出てこなくなった…何だよカメラひとつ着いて帰れよドキュメント撮ってるんならさー!と思いました(がドキュメントじゃないからさ)。でも、歴史の教科書的には、帰国した聞多(井上馨)と俊輔(伊藤博文)の方が知られている(らしい)(近代史の授業を受けた記憶がない)ので、この映画では敢えて英国に残り造船技術を会得して日本における工学の第一人者となった山尾に焦点を絞ったのでしょう。きっと。山尾演じる松田龍平がまたねー何かねー何考えてるか相変わらずわからない感じでねー。木刀持つとやたら強くてねぇ(そしてやられる北村さんは相変わらずぐねぐね流でした)(山尾のアレは示現流? あれ、示現は薩摩だったっけ)。立ち姿美しかったです。相手がぐねぐねだし(笑)。
 あれ龍平さんの話になってる。北村さんはすごく…ステキでした。前半特に*2。何というか…ぐねぐねも酔っぱらいもじゅるじゅる*3も、片膝突いて高笑いも、やたらキュートな笑顔も、英国行ってもぴしりと伸びてる背筋も、タマラナイ。正直、片膝立てて「わーははははは」と笑われた時には、いつ「俺は、てーおーせっかいだー」と云い出すかドキドキしましたが。英国密航の手はずを整えるために奔走する様や、女泣かせの悪い男っぷりや、何かもう…全てがご馳走様でした。前半だけDVD欲しい。イギリスで、どんどんあか抜けていく5人もまたステキでした。写真撮影シーン…奥さんに泣けたわ…。ありがとう、ありがとう教授の奥さん。後に北村有起哉が演ずることを予見しているかのような椅子逆座りポージングが、史実であることが恐ろしい。あとお風呂シーンは笑った。オースティン・パワーズかよ!
 とにかく画面は地味ですが、裡に秘めたるものはとても熱い、素敵な映画でした。ほんっとーに地味だけどね!

*1:それは歴史を俯瞰で見てのみわかることだしね

*2:後半いないから

*3:はちょっと弱かった