ミライ派野郎

森山未來とその周辺を果てしなく気持ち悪い感じに追いかける桐の日々散々。

死亡推定時刻

 ずっしり重くて、甘くない。久々に骨太なサスペンスを堪能致しました。
 世界で唯一、生きていて欲しい人を手に掛ける。ほんの小さな意地、小さな行き違い、ボタンの掛け違いで、望んでもいないのに、運命は転がっていってしまう。見終わって、ああスッキリ! 楽しかった! いや〜面白かったね!という感じでは全くなくて、胃の底の方にひとつ大きな石を抱え込んだような、重い感覚を覚えました。この石を、ゆっくりゆっくり消化しなくちゃいけない。でも、現実ってそういうものですよね。キレイさっぱり、すっきり納得、万事解決、なんてこと、滅多にないもんな。
 吉岡秀隆の、柔らかくて穏和だけど絶対引かない粘っこさ、松平健の見事な嫌われ役、永作博美の抑えに抑えた末爆発する鬱積。小林薫の絶望。被害者の父、という絶対的に同情を買う立場にありながら、誰が悪いと問われればコイツが悪いと云わざるを得ない、間違いなく視聴者ほとんどを敵に回す松平健の悪さが秀逸でした。がセリフがちょっと聞き取れなかった…。
 えん罪で死刑を言い渡される金井勇太も名演でした。証言台に立った永作さんに呟いた「ありがとうございました」、ちょっと涙出た。スクールデイズとか、アネキとか、コミカル寄りな演技しか見たことがなかったのですが、改めて役者としての底力があるな、と。
 あと、冒頭でちらっとドリさんことキムラ緑子さんも出てらっしゃいました。あれっ?と思ってエンドロール見たらやっぱりそうだった!